日本の3Dプリンター住宅の現在地

こんにちは。
みなさまが注文住宅で家を建てようと思ったとき、最初にどこに行くでしょうか。
住宅展示場や各メーカーのショールーム、モデルハウスなどに行けば一番最初の相談はできそうですよね。木造住宅やRC住宅であれば。。。

では、3Dプリンターの住宅をどうしてもどーしても!建てたいと思った場合、どうすればよいでしょうか。
2023年9月現在においては、正直なところ表立って建築相談を受け入れているところはないと思っています。
なぜかというと、
おそらくまだ日本の3Dプリンター住宅はその段階まで来ていないということだと思っています。

私は昨年から3プリンター住宅に非常に興味を持っており、これまで3社様ほど3Dプリンター住宅を研究・建築を進めている会社様とお話することができました。
三”社”三様で、考え方や方向性、建てようとしているものや目指しているものも違うのは面白いところでしたが、共通していることももちろんありました。

3Dプリンター住宅メーカーの共通点

・木材の高騰に対する懸念
・建築業界の人手不足対策

ひとつめについてはコロナ渦とウクライナ問題で顕著になった、いわゆるウッドショックです。
とにかくべら棒に値段があがったと建築業界の方、みなさん仰ってました。
2023年に入ると、ようやく上がり幅は縮小してきたり、中には値段の高騰が止まったという方もいましたが、コロナ前の金額に戻ることはまずありえないともみなさん共通して仰ってます。
そんな中で3Dプリンターが大活躍するという算段です(笑)
3Dプリンター住宅の材料は、モルタルやコンクリートに近い素材ですので、比較的生成が容易です。
もちろん各社様々な研究を重ねて材料自体を開発しているので一概には言えないのですが、
少なくとも木材よりは安定した供給がされるのではと思っています。

次に建築業界の人手不足についてですが、とにかく職人さんが少なくなっているそうです。
人口自体が減少しているので当然と言えば当然ですが、ある3Dプリンター住宅メーカーの社長さんが仰ってたのは、昔に比べて不良少年が少なくなっているのでその流れで大工や建築の現場で働く人が少なくなっているとのことでした。要因はそれだけではないかもしれないですが、決して的外れな意見ではないと思っています。
3Dプリンター住宅の部材を工場で作成し、現地に運搬してあとは組み立てるだけですので、必要な人数も必要な時間も抑えられるメリットがあります。

3Dプリンター住宅メーカーの相違点

では逆に各社異なっている部分はどこだったのでしょうか。

・建築費用
・安全性に対するアプローチの仕方
・目指すところ

ひとつめの建築費用についてですが、最近メディアで有名なところでは330万だったり550万など夢のような金額で住宅を建てられるというキャッチフレーズを耳にします。
一方別のメーカーさんでは、安さを売りにはしておらず、3Dプリンターならではのデザイン性を重視しているため、建築費用は一般の木造住宅と同じくらい(それでも一般のRC住宅よりは全然安いです!)と掲げているところもあります。

次に安全性について、3Dプリンター住宅といえども基本構造はRC住宅と同じなので、今の日本の建築基準法に沿った設計を行うことで安全面を担保する会社さんもあれば、自ら耐震実験を行ったり、厳しい審査に通るような研究を重ねて国土交通大臣認定を独自に取得したりと様々です。
一つ共通して言えるのは、地震大国である日本において耐震性を担保するのは最最最低限の企業責任であるということです。各社様、人の命を守る住宅を作っているという意識がとても高いと感じました。

3つ目の目指すところですが、住宅の値段を下げて革命を起こし、住宅ローンからの解放を謳う会社さんもあれば、これまで木造では絶対に作れなかった超未来形のデザインを売りにする会社さんもあります。あとはだいぶ先の未来かもしれないですが、住宅の材料を地産地消で、その土地の土を使って建築し、壊すときにはまた土に戻す!この発展形で月や火星でも容易に現地で材料の調達を可能にする。そんな将来像をイメージされている会社さんもありました。すごいなぁ。

日本の3Dプリンター住宅の現在地

各社の理念や目標は異なっている部分、共通している部分それぞれありましたが、
実際の状況はというと、商品化できるまでにはもう少しだけ時間がかかるなぁとお話を聞いていて感じています。
実際に建物を建てるところまでは各社すでに実施済みのところもあり、それぞれ建築確認を取得している状況もありますが、それはまだ実験段階と言ってよいのではないかと思います。
理由の一つに挙げられるのが材料の問題です。

ここで3Dプリンター住宅を建てるための登場人物をご紹介したいと思いますが、

・住宅として利用可能なプリンターの材料をつくる、材料メーカー
・住宅規模の大きさを製造できる3Dプリンターを作成する、3Dプリンターメーカー
・住宅用3Dプリンターと材料を使って、外壁などの3Dプリンター住宅の部品を製造するメーカーさん
・実際に施工する業者さん

となります。下2つは日本の企業さんですね。
私がお話を伺っているのは下2つの企業さんです。
上2つについては日本企業さんもあれば海外企業さんもあります。
特に3Dプリンターメーカーについてはデンマークやオランダの企業が有名なようです。

ただ、材料については多湿である日本の環境にマッチしたものが必要となるため、
日本の企業も日々研究を重ね、よりよい材料を開発しているみたいです。
要はベストなものがまだ作れていない、そういった段階ということもあり、実際の施工に関してもう少し時間を要するようです。

3Dプリンター住宅の現実

最近はテレビやネットでも日々取り上げられていますが、メディアで聞いている印象と実際にお話を伺った印象では少し異なる部分もあるかなと感じています。
一番の違和感は金額です。
昔、芸能人が550万で家が建つというCMをやっていましたが、実際は550万では建ちません。
あくまで建物本体価格であって、当然配管も設置しなければいけないですし、各種登録手続きや付帯設備など様々なお金が別途かかってきます。
3Dプリンターにおいても全く同じと考えています。
住み始めるまでには550万以上のお金が必要です。
ただそれでも、同じ広さを木造住宅で建てるよりはやっぱり全然安いと思います。
革命であることは間違いありません。
プレハブやコンテナなどではなく、ちゃんと建てる家としては最も安いのではないでしょうか。

そしてもう一点、先述したように3Dプリンター住宅が一般販売される時期です。
各社ともですが、当初の予定よりもやはり半年から1年ほどは計画が伸びているように感じています。
それでも、感覚ですが2024年中には実際に一般の人が住める家が建築され始めるのではと思っています。

今後も3Dプリンター住宅に目が離せません!
引き続き、日本の3Dプリンター住宅を追いかけていきたいと思います!!

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